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水曜日1
水曜日は朝から雨だった。
何となく憂うつな気分になりながら、雄大の家に向かう。
駅につき、迎えにきていた雄大と共に家に向かう。
他愛もない話をしながら横を歩くのもあと少し。
少し感傷に浸りながら通いなれた道を進んでいった。
家につくと雄大はカフェオレを2つ入れて来た。
「雨の日だけはカフェオレが飲みたくなるの。」
ある本で雨の日にカフェオレを飲む主人公を見たから。
付き合い初めの頃、由香が何気なくいったことから雨の日はカフェオレというルーティーンが出来た。
思わず笑みがこぼれる。
怪訝そうな雄大に笑った理由は話さずに別のことを確認する。
「渡すものって?」
雄大が持ってきたのは小さめの箱だった。
「誕生日プレゼント。ちょっと早いけど、その頃はアメリカだから」
受け取るかどうか躊躇っている由香。
「由香のために選んだんだ。女物だし、受け取ってくれないならゴミになるから」
「わかった。ありがとう。
中開けてもいい?」
「ああ」
出てきたのは時計だった。
その時計は由香が買おうかどうか迷っていて結局買わなかったものだった。
雄大に言ったことはなかった筈だ。
「たまたま、時計のベルト買いに行ったときに見つけて、似合うと思って。仕事柄、日付がわかるほうがいいだろう?」
「この時計、買おうかどうか迷っていたものなの。ありがとう。」
少し驚いた雄大の反応を見て、この人とは好みが似ているのだと改めて感じた。
「それならよかった。
遠慮せずに使って欲しい。時計もつけたほうが喜ぶだろうし」
嬉しそうな由香の顔を見て雄大も渡せてよかった、と思うのだった。
大事そうに時計を閉まった由香に、雄大はおもむろに切り出した。
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