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自転車の後部座席に紬を乗せて、マンションを出て、ひたすら真っすぐの道を走り続けるコト…ニ十分。
莉緒の通うさつき保育園に到着する。
朝はともかく忙しい。
莉緒と私の朝食作り、その合間に洗濯、クイックルワイパーで軽くフローリングの掃除そして、二人で朝食を食べる。
自分の身支度と同時進行で保育園の支度をして、夕食の下ごしらえと洗濯物をベランダに干した。
毎日のルーティンだけど、最近、仕事が忙しいせいか辛い。
ウエディングプランナーになって三年。
でも、私一人では難しかった。
父と離婚して私を頼りに上京した母のサポートがあってこそ、手に入れられたチーフの役職。
母は早朝のビルの清掃パートに行き、朝は不在の時が多い。
私も傲慢な父と縁を切る意味で母の旧姓・水瀬に姓を改姓した。
水瀬葵(ミナセアオイ)、それは今の私の名前。
「じゃ頑張ってね…莉緒」
「うん、ママもがんば」
二人でハイタッチ。
莉緒をさくら組担当の蓮田先生に頼む。
「莉緒ちゃん、きょうも「キュアリン」だね…」
「うん…」
莉緒はボロボロ『キュアリン』のTシャツを先生に自慢する。
「スキだね…」
「うん」
「じゃ、蓮田先生お願いしますね…」
「はい」
「では、お気をつけていってらしゃい」
蓮田先生と莉緒に手を振られ、出勤した。
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