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曇った空からハンコやリモコンが降ってくる。
「旅の人、これはでえだら様のお恵みだよ。」
傘をさした老人は空を見上げる。
「でえだら様は雲の上にいて時々家や木々を浮かしては自分の土地に持って行く。ほら、そこの家も先日持って行かれたばかりだ。」
だが、老人の指差す先には木々しか見えない。
「わからないだろう?何しろ持って行った後は土地を綺麗に整地してしまうから。だが、儂等はちゃあんと知っている。」
そう言うと、老人は天に向かって手を合わせた。
「雲の上には聖地があり、儂等はいずれそこに向かうことになっておるのさ。」
祈る老人。私もそれにつられ手を合わせようとした。
ガシャンッ
その時、地面に一台の冷蔵庫が落ちてきた。
落下時の衝撃とは思えないほど上下ペチャンコにつぶれた冷蔵庫。
…祈ろうとした私の手が、思わず止まった。
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