朝を待つ

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 あなたを見返しながらとろとろとそんな気持ちでいると、今度は本当に風が吹いて、あなたの髪を靡かせた。さらさらと一本一本が、空の色に溶けていく。その光景が私には、あなたが自分の色を削り取って世界に分け与えているように見えた。あなたは優しすぎるから、そうして世界から少しずつ遠ざかっていく。私はつなぎ止めたくて、思わずつまんでいた毛束をぐいっと引っ張った。   「いたっ」  小さく声が聞こえて、あなたがゆっくりと頭をさする。離した手の中には数本の白い毛があった。ごめんなさい、とっさに言おうとした時。あなたはまた静かに笑った。謝る隙を与えてくれないくらい早く、いいよと無言で訴えかける微笑みで。これで弱弱しく痛がってくれていたなら、どんなによかっただろうか。でもきっとあなたは、そんな姿を故意には見せやしないのだ。
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