都橋探偵事情『花虻』

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小振りなら片手で止められる。そうワッシーは判断して二刀流にした。金城兄が右から小振りで肩を狙い打ち込んだ。これはジャブ的な様子見。ワッシーの力量と動きを図るためである。長い木刀で受けた。目は金城弟に向けている。金城弟がワッシーの眉間に鋭い突き、短い木刀で払う。金城兄が棒を回して下から股間目掛けて振り上げる。ワッシーは壁伝いに回転する。金城弟が突きの連続。ワッシーは回転する。ワッシーの回転の後を泥壁に棒の穴が開く。このまま回転すると襖に妨げられる。ワッシー襖を縦に斬り込んで頭から飛び込む。畳で前転して庭に向けて走る。後ろから金城兄が突く。ワッシーは縁側で真上にジャンプして膝を折り畳む。その膝の下すれすれを棒が抜ける。ワッシーは棒の上に立ってバランスをとる。金城兄との力比べ。金城兄の棒が下がる。ワッシーは棒の上を前進して飛び上がる。金城弟がワッシーの膝目掛けて突いて出た。同時にワッシーが短い木刀を投げた。木刀は金城弟の眉間に直撃、突いた棒は勢いを無くし膝まで届かない。金城兄の力が尽きて棒が下がる。ワッシーが落ちるように転がる。転がるワッシーを棒が突く。縁側の床板に穴が開く。縁側から転げ落ちたワッシーは縁の下に入る。金城兄が縁側から飛び降りる。ワッシーがアヒル走りで縁側の下を走る。金城兄が前屈みの姿勢で棒を連続突き。突き当りに物が置かれている。ワッシーうつ伏せになる。金城兄の棒がワッシーの背の上に抜ける。ワッシーはそのまま庭に向けて回転。金城兄の足元に出た。金城兄が飛び上がり狐が雪上のうさぎを仕留めるがごとく棒をワッシーの胸目掛けて突いた。ワッシーは木刀を下から突いた。当然長い棒が先に胸に突き刺さる。ワッシーの胸に棒が振れる刹那、棒先にチェーンが絡んだ。ミッチが屋根から応援に来ていた。棒先が引っ張られて地面に突き刺さる。落下する金城兄の胸に木刀が刺さった。ワッシーは支え切れずに柄が胸に当たる。ミッチが木刀にチェーンを絡めて引っ張る。木刀はワッシーの胸から外れた。金城兄がワッシーの上に覆い被さった。ミッチが金城兄の横腹を蹴飛ばした。ごろんと一回転して金城兄が仰向けに倒れた。
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