都橋探偵事情『花虻』

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「あんまりやさしい言葉は掛けないでくれよ、点滴で涙を拭けないから恥ずかしい」 「先輩」 「まあ座れよ。話が聞きたい。君がいると安心出来る」  マーロウは丸椅子を寄せて座った。 「大きな仕事の帰りだな?」 「よく分かりましたね」 「得物背負って髪の乱れを見ればすぐに分かるさ。内容を聞かせてくれ」  マーロウは深谷の経緯を事細かに知らせた。 「そうか、みんな無事か、私も参加したかったなあ」   林は残念がる。 「悪い知らせがあります」 「ああ助かる、うちの情報は善悪関係なく教えてくれ。出る時に何も知らないじゃお粗末だからな」 「高畑のことはご存知ですね?真崎のことは?」 「高畑君はここに入院しいてる。退院したら私の全てを捧げるつもりだ。そんなもんで間に合いはしないだろうけどそれしか方法がない。これから先彼女のために生きるつもりだ。立ち上がることが出来たらの話だがね。それで真崎がどうかした?」  まだ情報は入っていない、四、五時間前の事、使者がいないから知らなくて当然。 「真崎が殺されました」  林がマーロウから視線を外した。 「それで助役は?」 「残念ですか」  依頼を全うすることが出来なかった。真崎の死も無駄になってしまう。沈黙が続く。 「どちらまで?」  
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