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警備員が二人を止めた。見慣れない白衣の二人に警戒する。笠井は笑って警備員を羽交い絞めにする。すかさず富樫が喉を掻き切った。声を上げる間もなく二人の息の合った襲撃に倒れる。鮮血が富樫の白衣を染める。警備員の警棒を抜き取る。死骸を引き摺ってトイレに入れた。笠井はナースステーションのカウンターを飛び越えて八階当直の二人のナースを殴りつけた。
「静かにしてろ」
口をテープで塞ぎ両手を後ろ手にしてテープで巻いた。椅子に座らせて背を合わせ二人一緒にロープで縛った。富樫は鮮血に染まる白衣をナースの頭に被せた。カウンターを飛び出して集中治療室に向かう。どの部屋か分からない。
高畑は桜井からのラインでマーロウが来ることを知らされていた。エスコートしようと八階に上がった。エレベーターを降りて集中治療室に向かう。二つの影が林の入る集中治療室の前にいた。高畑の直感、非常ベルに指を当てた。
「誰?」
近寄らずに叫んだ。笠井が高畑に向けて走る。
「助けてー」
同時にベルを押した。鳴り響く、高畑は向きを変えて走る、エレベーターではドアが閉まる前に捕まる。非常階段を下りる。七階に叫びながら逃げ込んだ。笠井は追うのを止めて戻る。
マーロウが立ち上がる。バットケースを背負った。
「先輩、鼠だったら退治して来ますよ」
そう言って常夜灯を回し部屋を暗闇にした。ドアが開く、外開き、マーロウはドアノブを引っ張った。中に入れては林が危険。ドアノブを引っ張り双方から力比べ。警備員が三人警棒を手にしてエレベーターから降りた。富樫を確認し走る。富樫は怯むことなく警備員に立ち向かう。左手にナイフ、右手に警棒。警備員も武道は習得している、だが喧嘩慣れした半グレの富樫は実戦経験が豊富である。取り押さえようとする心得と刺し殺すと言う意識の違いに差がある。
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