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「神様、お願いします」 これが母の口癖だった。 そんな母はもうこの世にはいない。 棺桶に入った母は人形のようだ。 よく人は死人を見て「まだ生きているみたいだ」と言う。 だが棺桶に入る母を見てお世辞にも生きているようなどとは思えない。 顔は言葉通り生気がなく青白いのに、口角は少しほんとうにわずかだが上がっているように見える。 あんなにぼさぼさだった髪の毛は溶かされていて、まさに人形のようだ。
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