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業務の邪魔にならないよう夕方伺うと、皆さんが声をかけてくださり申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 その中で「赤ちゃんできたんでしょう?」 「おめでとう。」「無理しないで」 なんて言われて私は自分のお腹をおさえた。 …私が違う人に見えているのかな… 違います…と言いながら一人一人訂正していった。 でもいきなりの休職、そして薬指に指輪 … 確かに条件をそろえてしまっていた。 「佐々木さーん。」 自分のデスクへ向かうと、直ぐに私に気付いた後輩の中埜君が椅子から立ち上がって私に抱きついてきた。 こんな子だったっけ?あっけにとられていると、蛇が「佐々木勘違いすんな、中埜これでようやく定時に帰れるから喜んでるだけだから。」と椅子にのけぞった。 「そんなわけないじゃないですか。」 そう言いながら中埜くんは私を引き離し、今度は私の腕をさすりながら「地獄だったんですからねー。」と甘えて言われ、私はその腕を静止しながら「ごめんごめん。」と謝った。 「分かってはいたんだけどね、私達、佐々木さんに甘え過ぎていたわ。」 また一段と綺麗になった山田さんが呟いた。 山田さんは私が寝たきりになっていた自宅にお見舞いのゼリー を送ってくださったりと、本当にお世話になってしまった。 「いえそんな。またバリバリ頑張っていきますのでよろしくお願いします。」 結局1か月半の休職で済んだので、何とかまた同じ部署で働く事が出来る様になり、あれはなんだったんだと思うような日々が帰ってきていた。 ーーーーーーーー
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