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「玲子ちゃんこっちくる?」
湊が言い出すと皆立ち上がり、私の隣に玲子が座ってきた途端、首に腕を回して抱きついた。
「私の可愛いあおいが…」
「ありがとう玲子。命の恩人だよ。」
「ご飯食べなね…」
「うん。もう大丈夫だから。」
私が言い終わると、玲子は私をパッと引き離した。
「私ね、あおいのその大丈夫って言葉嫌い。大丈夫じゃないでしょ。」
うん…
私はやっぱり恵まれている。
こんなに優しい友人がいるんだから。
玲子は私の左手を取ると薬指の指輪を見て、「良かったね。」と耳元で可愛く言った。
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アパートに帰宅。
久しぶりのお出かけはさすがにどっと疲れた。
でも心地良い疲れのほう。
湊は直ぐにお風呂を洗いに行ってくれて、私はベッドに持たれかかって座ると、ウトウトしてしまっていた。
ん…
目を開けると、湊がキスしてきていた。
ちょっと強引に舌が入ってくる。
こんなキスは久しぶりだった。
私も直ぐに答えて、首に腕を回した。
ずっとこうしたかったと言ってくれているような、気持ちがたくさん伝わってくる。
最後はキスを終わらせまいとする2人の攻防に、私がふふふっと笑ってしまって負けてしまった。
「ずっとしたかったけど、我慢してた。」
なんだか偉そうに言う湊の言葉にやっぱりねと心の中でつぶやく。
「ごめんね、我慢させて…。」
「俺、偉い。」
やっぱりそう思ってたんだ。
手に取るように分かってしまって、本当に湊って可愛いなと思う。
「うん、偉い。」
「今日は疲れただろうし、ここまでで我慢する。でも元気になったらしよっ。」
「ふふふっ、うん。するっ。」
子どもの約束みたいな言い方で、私はまた笑ってしまった。
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