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そこからの入学式が終わって帰るまでの半日、記憶が殆どない。
殆どないながらもちゃんと自分の家に帰ってきていた。
どういう事だろう。
太陽くんが太陽さんなのはわかった。
やっぱり最初に感じたように太陽くんは太陽さんなんだ。
イメージ通りの人だった。
だけど、むこうは僕に気づかない。僕じゃない人を『北風さん』って呼んだ。
二人は寮生で入学式の三日ほど前から顔を合わせていたらしい。
どうしよう……。太陽さんに会える事すごく楽しみにしてた。
だけど、太陽さんにとって僕は北風さんじゃなかったんだ。
太陽さんからの手紙を抱きしめて、僕は声もなく泣いた。
いつまでもいつまでも。
涙が枯れることはなかった。
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