恋に落ちる音

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 家に帰り、カップをキレイに洗い、松堂さんのメッセージを読み返す。  『一昨日は、ありがとう。会えてうれしいよ! 』  ふんわりした気持ちになりながらキッチンペーパーで丁寧に拭いた。  松堂さんの笑顔を反芻しては、ニヤニヤしてしまう。  今は、出会えた幸運を噛みしめていた。  それから、3日に一度ぐらいの割合で駅前のカフェに立ち寄り、松堂さんの一言メッセージ入りのカップが私の部屋に増えていった。 「今日は、寒いね」「いつも来てくれてありがとう」「」 など、他愛もないものだ。けれど、机の上に並んだカップを眺めては幸せな気持ちに浸れた。  「さあ、幸せチャージ完了。勉強しよっと」  ひとり言で気合を入れて、カバンを広げ教科書を取り出す。すると、カバンからキーホルダーが床に落ちた。  ” チャリーン ”  ああ、この音。  落ちたキーホルダーを拾い上げ振る。  ” チャリーン ”  松堂さんを追いかけた時の想いが湧き上がってくる。  できれば、もっと仲良くなりたい。  欲張りかもしれないけど、私の事を好きになってもらいたい。  そう思うと胸のあたりがギュッとなり苦しくなる。
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