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「テストはほとんど満点だし、授業受けなくても勉強はしてるし、高校生活最後くらいエンジョイしたくなっちゃったんですよ。別に警察のお世話になるようなことはしてないんだし、良くないですか?」
俺が言葉に詰まったその時間の隙間に、相沢は相沢自身の主張を詰め込んでくる。
彼女の言葉は確かに頷けてしまう部分がある。制服を着崩してはいけないのも髪を染めてはいけないのも、「学校の風紀を乱すため」であり、しかし実際にそれらを守ったから風紀が絶対に乱れないとも言えないし、守らなかったから絶対に風紀が乱れるとも言えない。
「学校にいるなら学校のルールを守る。それが将来社会に出た時に社会のルール、会社のルールを守ることに繋がるんだ。今は親や学校が責任を取ってくれるかもしれないけれど、大人になったら誰も責任取ってくれないからな」
俺はいつか生徒指導主事の先生が言っていたことをほとんどそのまま口にする。正直、精神的にも体力的にも限界を迎えた俺に言えるのはその程度だ。
相沢は「へぇー」とつまらなそうな声をあげるとニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ねえ先生……私が問題児になった理由が三嶋先生に構って欲しいから、だったら?」
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