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「こんなにも翻弄されるなんて思わなかった……」
ため息を吐いて言う。
……そう、初めてこのお店のカードキーをもらった時には、ホストがお客を選ぶというちょっと変わったコンセプトに引かれたに過ぎなくて、興味本位で通ってみて飽きたらまた別のところへ行こうなんて思っていた。
だけどここは、他のどんなお店の雰囲気とも違う特別感があって、まして遊び馴れた自分を魅了する、流星みたいなホストに出会ったこともなかった。
「翻弄ね…そんなの、俺はするつもりもねぇけど」
バーボンのロックをごくりと飲む彼の手から、グラスをすいっと抜き取る。
「するつもりもないから、翻弄されるんでしょ…」
彼にそう告げると、無防備なその唇にちゅっと軽くキスをした──。
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