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銀河は、私の隣でバーボンをロックで飲んでいて、
グラスを持ち上げる度に、氷が揺れてぶつかり合うカラン…という音が微かに聴こえていた。
彼と私しかいないふたりっきりの空間で、微かなその音色が耳に心地よく響く。
男性の割りに長くしなやかに伸びた指を、水滴の付いた冷えたグラスに添えて、薄い唇へと運ぶ手つきに、目が吸い寄せられて離せなくなる。
「…ねぇ、銀河?」
睫毛の長い横顔に思わず呼びかけて、「…うん?」と顔が向けられると、その先をどう続けていいのかがわからなくなって、
「……ロックって、強いの?」
と、頭に浮かんだ些細なことを尋ねた。
ごくっと咽喉を鳴らし一口を飲み込んで、銀河が私の顔をじっと見つめる。
紫のミステリアスな色合いの瞳の中に、私の姿が映り込む。
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