152人が本棚に入れています
本棚に追加
「なら、飲んでみるか? まぁ、弱くはないけどな…」
差し出されたグラスを受け取ると、指の先が重なって触れ合った。
「あっ…」
指が触れただけなのに、胸がとくんと跳ね上がる。
動揺を抑えるために、手渡されたバーボンロックを飲もうとした。──と、急に銀河にその手を止められた。
「やっぱ、やめとけって。それ、けっこう強いからな。おまえは、飲まない方がいいって」
私の手からグラスがすいと抜き取られる。
「だけど、飲みたかったのに…。銀河がどんなのを飲んでるのか、知りたかったから…」
銀河が再びグラスに口をつけて、(あなたが飲んでいるそのお酒が、私も飲んでみたかったのにな…)と、心の奥でぼんやりと思いながら、バーボンを飲む彼の仕草を目で追った。
「だったら、こうすればいいだろ…」
銀河が、ロックグラスの中身におもむろに指をつけて、
「ほら…舐めてみろよ?」
と、バーボンの薫る指先を私の口元に差し出した──。
最初のコメントを投稿しよう!