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映像の再生が終わりスクリーンを上げると、プラカード担当の清地先生と三ツ田先生が出てきた。女子の集まりなのに、指導してくれるのは男性教師のコンビだ。
年上の清地先生は体育を受け持っている。背は低いけれど浅黒い肌が引き締まっている。
痩せても太ってもいない三ツ田先生は女子バレー部の顧問。二人とも普段通りの、ポロシャツにトレーニングパンツだ。
清地先生が軽く補足説明をしてくれる。
「見てもらった行進が開会式のメインで、全校が入場したあと、式そのものが始まる。全体で一時間くらいだ」
三ツ田先生も胸元のクリップボードの傾きを変えてから、私たちを見下ろす。
「今年、参加は県内百二校。プラカード係百二人と補佐数名、体調に留意してがんばりましょう! 僕らもフォローします」
そのまま三ツ田先生は、全員に立って壁際に並ぶよう指示を出した。何を始めるのかわからず、みんなしゃべりながら移動する。
「えー、今から担当校を決めます。ざっとでいいので、まずは背の順で並んでみてください」
一番小柄な子を先頭にして、壁に沿って一列に広がる。並ぶと最後尾の子の肩を持って、清地先生が前に踏み出した。
「更に中央が高い山型になるよう、並び直すぞー」
自分の左右の子と身長を口に出して確認する。先生と歩いてきた一番背の高い子が真ん中、両端が小さい子という順番に、並び替える。
私は、先生たちから見て左側に立つ。中心の子の二人隣だ。
横にいる、背の高い方の子をのぞき込む。さっぱりと髪が短く、知らない子だけど、運動部のように見える。
スタイルが良く格好いいその子は、私の視線に気づくと「よろしく」とだけあっさりと言った。あ、よろしくッスと言ったのかもしれない。
「よろしくですー」
つんけんした方がいいのかわからなかったけれど、結局、無難な感じで答える。
「おーい、担当校の書いた紙を配っていくからなー」
清地先生が列に声を掛け、左側の端からクジのような、細い紙を手渡し始めた。
私は手の平に置いた紙を、まじまじと見つめる。清地先生が内容を読み上げる。
「五十番 旭栄高校、とぉ……――」
三ツ田先生がクリップボードにへと校名を書き込んでいる。記録を残すために、清地先生は続けて言った。
「クラスと名前は?」
「一‐六、朝来真帆です」
「あさご、ね。旭栄担当じゃあテレビによく映るかもしれんな」
「そういうものなんですか」
へえ、としか言いようがない。
旭栄といえばこのあたりで一番の進学校だ。仲の良い友達も通っていないし、その程度の知識しか、私にはなかった。
先生たちが見ていないのをいいことに、私は旭栄と書かれた紙を人差し指で摘み、上下に揺り動かす。
「おっ、担当校は星越第一! おめでとう」
私の次、あの、短髪の似合う子が、自分の高校の担当に決まったらしく、先生やまわりの声が沸き立っている。
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