嘆きの子守歌

2/19
前へ
/19ページ
次へ
体育の時間は四時限目。僕は彰人と同じチームになった。あまり運動が得意ではなく、もちろんバスケも上手くないので、ボールが来たら彰人のような上手い人にパスするようにしていた。うちのクラスは運動神経の良い人が割と多いので、足をひっぱらないように気をつけて動いた。そんな努力もあって、一試合目は大きく差をつけて勝利した。 「お疲れ。」 コート脇で胡坐をかいて休んでいた僕の横に、彰人が座る。 「相変わらず彰人は上手いね。」 「まあ俺運動しか取柄ないからな。」 彰人がへへッと笑う。 コートでは次の試合が始まっている。「パスパス」、「いけ!」といったかけ声が飛び交う。 「そういえばさ、今日放課後暇か?」 彰人がこっちに顔を向ける。まだ汗が引いていないのか、額から汗が流れている。 「空いているけど…」 そう言った途端、頭に痛みが走った。頭を右手で押さえる。 「おい、大丈夫か?」 彰人が僕の肩に手をかける。またこの痛みだ。 「大丈夫…。」 「全然大丈夫そうじゃねえぞ。顔も青白いし。」 彰人はそういうと立ち上がり、先生の所へかけていった。そして何かを伝え、こっちに戻ってきた。 「健、肩かせ。」 彰人が僕の身体を支え、立ち上がらせる。 「え?」 「保健室行くぞ。先生には言っといた。」 「ええ?!大丈夫だよ。そんなひどくないし、休んでたら良くなるから。」 彰人は僕の言葉を無視して、僕の身体を支えて体育館の入り口へ向かっていく。 「無理は禁物。それに休んでよくなるんだったら保健室でいいだろ。」 結局彰人のされるがままに、保健室へ連れて行かれた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加