嘆きの子守歌

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「彰人。」 僕はベッドのシーツを右手で強く握った。 「彰人に話したいことがあるんだ。」 彰人は黙って僕の目を真っすぐ見つめていた。 「変だって、頭おかしいって思うかもしれない。でも、驚かずに聞いてほしいんだ。」 そういった途端、彰人はふっと笑った。 「聞くよ。俺たち友達だろ。」 その言葉に後押しされた気がした。 保健室には僕と彰人だけ。静かだ。なんとなく、この静けさはこの時のために作られたものなのではないかと思った。 舌を濡らし、息を吸う。 そして彰人を見て言った。 「僕は、この学校から外に出られなくなってしまったんだ。」
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