#2  全力拒否

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終了の合図でペンを置いた。 ひととおり、解答用紙は何とか埋められた。いまのところ主要3教科では重大なミスはしていないはずだ。残りは午後の2教科90分。これで終わりだ。 食事を終えトイレを済ませ、流し場で薬を飲もうとしていると廊下でふざけているやつらがいた。 そんな奴らは落ちるがいい。呪いもこめて強く願った。 聖人がいう生徒が大人であるというこの学校の生徒の特長とは一致しない奴らと肩が接触してしまった。 「あ、すっみません」 ぶつかった衝撃で口の空いたピルケースから飛び出し、流しの排水溝にポロポロと転がり込む俺の発情抑制剤。 予備も含めて殆どが吸い込まれてしまった。 「あーー! ふざけんな!」 相手に怒鳴ってみても、排水溝に叫んでも薬は元には戻らない。 排水溝の蓋は簡単には外れない。 無情にも休憩時間の終了を告げ着席を促すアナウンスが流れていた。 流しの手前に一つだけ錠剤が留まっていた。その錠剤を水道ですすいで急いで口に入れる。少ないけど無いよりはましだ。
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