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聖人が我が家に来たのは中学2年生の14歳の時。俺はその時はまだ6歳の子どもで、聖人が家に来た経緯も何も知らなかった。
いつの間にか中学生みたいなやつが家にいるなーと思っていたら、父親に紹介された。それが聖人との出会い。
俺には母はなく、兄弟もいなかった。
親戚筋の親を亡くした聖人が家に引き取られ、俺の兄代わりの世話係りになった。
初めて見た聖人は坊主頭に詰襟の学生服姿で頬が赤かった。まるで田舎から出てきたばかりの中学生というテンプレを見てるようだった。
俺のことをまぶしそうに見ていた。
「お前、何なの?」
「何って……」
年下のガキの威圧的な口調に聖人も戸惑っていた。
俺自身も聖人から何を聞きたいのかよく分かってなかったけど、こいつの反応を何か見てみたいと思ったんだ。
聖人は小学生の俺からの威圧にたじろいでいた。
新しい保護者の子どもに躊躇する気持ちもわかる。
でもしかし威圧には威圧で返さないと。そうじゃないとなめられる。俺の試しの場で聖人は弱々しい反応を示した。
その反応から俺は聖人をいたずらしても良い対象とみなした。こいつには何をしても許される、わがままを言っていい奴と判断した。
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