#5 聖人 2

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よく見えるように角度を変えると、姉を押さえつけた男が下半身をむき出しにして 姉の足の間に腰を打ち付けていた。 これは、なんだ? 目の前で起こっていることがよくわからなかった。 僕の頭は混乱していた。 僕はしばらく動けず目の前の光景をただ呆然と眺めていた。 これは何かの物語の一部で、姉が生け贄になりモンスターに喰らわれているどこかの別世界の話のように思えた。 自分の手で足をなでると、そこには確かな感触があった。 現実だと認識すると、戸惑いと怯えから僕は無意識に後ずさってしまった。そして隣に立て掛けてあった掃除機にぶつかる。 ガタンと大きな音をたて無情に倒れる掃除機。 男が動きを中断させ、振り返った。 ぎらぎらした目をした肩周りに肉がついた若くて強そうな男。 顔は赤らみ、鼻は膨らみ、瞳は欲望で濡れていた。 男は僕の姿を認めると眉をひそめて 「これは俺のだ。邪魔をするな」 と吐き捨て行為を継続した。 強い男の声は僕の中枢まで到達した。 その言葉は僕の心臓を経由し全身を縛り付ける。 僕はそのまま動けなくなった。
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