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よく見えるように角度を変えると、姉を押さえつけた男が下半身をむき出しにして
姉の足の間に腰を打ち付けていた。
これは、なんだ?
目の前で起こっていることがよくわからなかった。
僕の頭は混乱していた。
僕はしばらく動けず目の前の光景をただ呆然と眺めていた。
これは何かの物語の一部で、姉が生け贄になりモンスターに喰らわれているどこかの別世界の話のように思えた。
自分の手で足をなでると、そこには確かな感触があった。
現実だと認識すると、戸惑いと怯えから僕は無意識に後ずさってしまった。そして隣に立て掛けてあった掃除機にぶつかる。
ガタンと大きな音をたて無情に倒れる掃除機。
男が動きを中断させ、振り返った。
ぎらぎらした目をした肩周りに肉がついた若くて強そうな男。
顔は赤らみ、鼻は膨らみ、瞳は欲望で濡れていた。
男は僕の姿を認めると眉をひそめて
「これは俺のだ。邪魔をするな」
と吐き捨て行為を継続した。
強い男の声は僕の中枢まで到達した。
その言葉は僕の心臓を経由し全身を縛り付ける。
僕はそのまま動けなくなった。
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