554人が本棚に入れています
本棚に追加
姉の口からは苦痛のうめきと咆哮が混じったような声がもれた。
小柄な姉は蛙のように足を開かされ男を受け入れさせられていた。
白くて細い体を、筋肉が張った体が揺さぶり、ぶつけ、突き上げる。
汗のにおい。雄の匂い。生ゴミの匂い。血の匂い。酸っぱい匂い。
ここには濃厚な甘い匂いがあふれ、雑多な匂いと混じり合い、僕はくらくらと酔いそうだった。
二人から目が離れなかった。
男と姉のつなぎ目からは白が混じった透明な液体が漏れ、男の動きに合わせて水音を立てていた。
男の荒い息づかいと肉がぶつかり合う音。
それらが僕の耳の鼓膜を振動させるたびに僕の中のどこかが痛み、腐り、発酵している気がした。
体が熱くてたまらない。頭がガンガンする。息が荒くなる。
僕の下半身に新しい生物が生まれ、どくどくと脈をうっている。
しめつけから解放されたいのに下着で拘束されている。
立っているのが苦痛で台所の床にへたり込んだ。
服の上から足の間で暴れるものを押さえつけた。熱くて硬い。
今この状況で確実に僕の味方なのはこの熱い生物だけのような気がした。
肉体のぶつかり合う生々しい音を背に、股間をぎゅうっと強くにぎり込むと何かが限界点を越えた。
尿道を駆け上がる急激な尿意。
僕は切迫する尿意に耐えられず下着を濡らした。僕の生き物はびくびくと震えていた。
僕は稲妻に打たれたかのような衝撃で呆けていた。
場違いで不愉快な甘くて重い余韻に体が支配されていた。
僕はこの場面に何もできない無力さと、腰奥から湧き上がるいっこうに引かないずくずくいう熱と、漏らしてしまった羞恥に打ちひしがれ泣いていた。
これらは母さんの帰宅まで続いた。
母さんは男をみると叫び声をあげた。そして罵りながら男にポットやゴミ箱を投げつけ、身近にあったいろんなものを投げつけていた。
男は服を手に取り逃げ出していった。
残された姉はぐったりしていた。腰辺りの床には大量の白く濁った液溜まりができていた。中に血が混じっていた。
母さんは名を呼んで姉を抱き寄せると首元を確認した。
「ああぁ・・・・・・!!」
母さんの嘆きが響く。その視線の先には噛まれた後があった。
最初のコメントを投稿しよう!