#1  緩やかに拒否

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俺はΩ性のオスだったが、判定される以前には、それらしい予兆はまったくなかった。 小学生の頃、変な男や女に付きまとわれたことがあった。 今、思うとΩのフェロモンの片鱗が出て影響していたのかもしれない。 αにとってのΩは、フェロモンで性的に惑わすサッキュバスのようなもの。淫靡に肢体をくねらせ誘惑する。高価な媚薬のように夢中にさせて対象を捕らえて離さない。 それが俺のΩのイメージ。 俺がそのサッキュバス? 嘘だろう。正直、戸惑っている、それが素直な感想だ。 俺の周りにΩ属性の人は皆無で、自分にとって自分が初めてのΩだった。 Ωは外を歩いているとαに襲われてしまうので、常に家の中にいて外に出れない、社会生活も満足におくれないものだと思っていた。 今は便利な世の中になっているらしく、発情自体をセーブするような発情抑制剤なるものが出回っていて、発情期のΩであってもαであっても普通に生活ができるようになっているらしい。 その話を聞いて胸をなで下ろしたことを思い出した。
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