#1  緩やかに拒否

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父親は俺がΩであっても態度を変えなかった。 家に関係する人は、ほとんどα属性のものばかりだった。 配偶者にΩがいたとしても、この家で姿を見かけることはなかった。 たまにβ属性のものがいるが、家の出入りの業者だったり従業員だったり親族では見かけなかった。 まして血族にΩなんて。 でもΩがαの子を産むことが多いと聞いていた。 「俺の母さん、知ってる? 」 「俺がこの家に来たときには、いらっしゃらなかったです」 「もしかしてさぁ、俺の母さんΩだったんじゃね」 今、我が家で見えるの風景はαばかりの構成だが、姿の見えないΩたちも関わってきたのではないかと思っていた。 昔から欠けていた母という存在も。
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