#2  全力拒否

1/5
前へ
/150ページ
次へ

#2  全力拒否

家で聖人に勉強を習う。 大学が附属で、エスカレーターで大学まで上がれる、安泰と思って入学した中学校。 俺はわりと整っている顔をしていたので、入学当初、中身がばれるまでは女子にキャーキャー言われ騒がれていた。 それを見ていた男子達は面白くなかったらしく、俺に関するいろいろ足を引っ張る材料を集めたらしい。 最初の健康診断の結果をのぞき見た奴がいた。そいつの口から拡散される俺の性属性。 反感を買っていた分だけ、拡散は早く広く遠くと牛丼屋のキャッチコピーみたいに広がっていく。 俺がΩであることを知り、今まで俺に関心を持たなかった奴まで、俺に関心を持ち出した。 リアルでΩに出くわすこと自体珍しく(皆隠しているため)、エロ本に載るような扇情的な情報だけが一人歩きしていた。 ある日、待ち合わせ場所である校門に姿を見せない俺を探しに、聖人はGPSで場所を確認して校内まで迎えに来た。 聖人は複数人の前で下半身を剥かれ、股をいじくり回されている俺を見つけた。 ヒートが来ていない俺の性器はその辺の未発達の男子と同じでなにも変わらないのに。 Ωには快楽をもたらす特別な器官があると思われていたみたいだ。 聖人は状況を押さえ学校に怒鳴りこんだ。親の圧力も使ったようだ。クラスの何人かは元々素行に問題があったらしく、今回の事と合わせて退学になっていった。 聖人は学校に通う必要はないと、家で俺に勉強を教え始めた。 進級し、配慮をしてもらったクラスに在籍する。 何回か登校してみて問題が起きなさそうと確信がもてるようになってから学校に戻った。 がさつな俺は姿を消し、クラスでは気配を殺して、いるかいないかわからない透明な人間になっていた。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

553人が本棚に入れています
本棚に追加