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早苗と別れて、丁度一時間後。彼氏の森本逸郎が、独り暮らしをしている私のマンションにやってきた。
二つ年下で、まだ大学生の逸郎は髪も金髪に染めていて、ラフな格好をしている。大学は三回生と言っていたから、そろそろ就職活動を始めないといけないのではないか。と、いうことを、私は口に出せないでいた。そういうところが甘いのだなと自覚している。
「急に来るって言うから、なんにも用意してなかったよ。インスタントのラーメンでいい?」
「なんでもいい」
逸郎は、私のお気に入りのソファに座り込んで、スマホのゲームをしだした。いつもこうやって、一方的に押しかけてくるが、何を話すわけでもない。ゲームをして、私の作ったご飯を食べて、泊まっていく。ただ、それだけの関係。
これを付き合っているのかと言われたら、微妙なライン。たぶん都合良く扱われている。それが分かっていても、強く出ることは私にはできなかった。
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