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魔女がアップルパイを焼きました
100年ぶりに焼きました
なにしろ100年ぶりですから、作り方を思い出すのがたいへん
あらまあどうしましょう
窓からリスが遊びに来ました
くんくん、なんだかいいにおい
「でもなにか忘れている気がするの」
キツツキさんも遊びにきました
コツコツ、なんだかいいにおい
「でもなにか忘れている気がするの」
アナグマさんも遊びに来ました
ふんふん、なんだかいいにおい
「でもなんでしょうねえ忘れている気がしてしかたがないの」
それからキツネさんも野ウサギさんもコマドリさんも集まってきて
みんなで首をかしげました
なにかしら なにかしら なにを忘れているのかしら
そうこうするうちに、アップルパイが焼き上がりました
なにしろ100年ぶりですからあまり上手ではないけれど
大きな大きなアップルパイ
いいにおいだね いいにおい
みんなのおなかが ぐぐう と鳴りました
「あらあらたいへん わたしったらこんなに大きなアップルパイを焼いてしまって とてもひとりじゃ食べきれない しかたがないから手伝って」
魔女は魔法の杖をひとふりしました
するとアップルパイは、ぱかりぱかりとひとりでに割れて
集まったみんなそれぞれに、ちょうどいい大きさになりました
おいしいね おいしいね
リスさん、キツツキさん、アナグマさん
キツネさん、野ウサギさん、コマドリさん
みんなでおなかいっぱい食べました
ところで魔女さん なにを忘れていたか思い出したの?
「うふふ もちろん」
魔女はにっこり笑いました
「アップルパイはみんなで食べるとおいしいってこと 100年ぶりに思い出したわ」
〈おしまい〉
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