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縁結びの神の工数が足りません!神柱補充を頼んだら、アフロディーテさんがやってきました。
「困った……」
清原頼業は、頭を抱えた。次から次へと押し寄せる案件に、処理が追い付かない。
今年はどうしてこうも、業務が膨大なのか。いや、原因は明確、新型コロナウイルスの蔓延である。
その所為で、普段からパンク気味の業務が更に増大した。その上、一度取り掛かった案件の変更も多い。
ただでさえ工数が足りないのに、その上頻繁に要求仕様が変更されると、どうにもならない。補充を頼めばいいのだが、どこも業務が逼迫しているから難しいだろう。
しかし、法と契約を守ることにかけては随一と自負のある頼業にとっては、納期を遅らせることは出来ないし、当然、品質を落とすなど以ての外。
これ以上業務が増えれば、どうにもならなくなることは明白である。猫の手でもいいから借りたいと、ダメ元で補充を申請することにした。
幸い、窓口はすぐ隣だ。
頼業は急いで現状を文書にまとめ、居室を出た。
「そうは言っても、どこも一杯一杯だからなぁ……」
頼業の申請を受け取った猿田彦命は、頭を抱えた。頼業の要望はもっともだが、今はどこも、手が足りない。
「商売のことは、妾がお引き受けいたそう。豊川の荼枳尼天殿にもご助力願えば、なんとかなろう」
そう言ったのは、宇迦之御魂神。全国で『お稲荷さん』として親しまれている神で、その本拠地は伏見にある。
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