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「ハア?何この男性!?ヨリナリに頼むより、先にヤルベキコトがあるデショウ」
突如、アフロディーテが素っ頓狂な叫び声を上げた。
「どうされましたか?」
「ヨリナリ、見てヨ。この、ケンジ・ハシモト。結婚したいっていうワリに、自分デハ何もドリョクしてないのヨ」
それは、橋本賢治という男性の願いだった。
大手企業に務める技術職のサラリーマンで、年齢は33歳。性格は真面目で消極的だが、結婚相手としては、申し分無い。しかし……ほとんど人前に出ない仕事だからか、服装には無頓着で、体型も少々どころかかなり太い。
服装はともかく、そういった体型の男性を好む女性がいないわけではないが、少数派だ。
ヒトの好意など、第一印象でほとんどが決まる。いくら見た目ではなく中身が重要と言っても、最低限の見た目をクリアしなければ、そもそも中身を見てもらえないのだ。
「ワタクシの時代、ふくよかさは富の象徴としてモテハヤサレマシタ。でも、今はそうではないデショ。それに、ふくよかさにも限度と美学がアリマス。ココは、ワタクシが根性を鍛え直してサシアゲマスわ」
アフロディーテは憤ったまま、姿を消した。
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