ザ・レジェンズ

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「天女です」 「龍です」 「二人合わせて」 「主に怖い人の背中に住んでます」 「確かに私もあなたもよくいますけど、同時にはなかなかいませんからね」 「それより聞いてくれますか?こないだ、岩魚を五匹食べたんですわ」 「今時、岩魚三匹食べると竜になるなんて誰も知らないですよ」 「科学的根拠に基づいて話をしますと、岩魚の中にいたアニキサスのご機嫌が斜めなお陰でこんな姿になるというデータが… 「誰も寄生虫の影響でそこまで姿形が変わるとは思いませんよ」 「じゃあこれで私が龍ヶ崎市のゆるキャラ狙ってる話はおしまい!」 「そんな話してないし、貴女の見た目、原型が女性だとすら思えないほど緩さの微塵も感じませんけどね」 「だって、竜を緩くしたら ……パオロンになってまうやん! ……って、パオロンって誰やねんッ!?」 「あなたが言いましたよね?確か、ドアラに完全に持っていかれてるドラゴンズのマスコットですけど、豚カツに味噌つけないと食べれれない人しかパオロンなんて知らないんじゃないですか?」 「てか、ゆるキャラがゆるくなきゃあかんのやったら、昼ドラはひるくなきゃあかん言うのかッ!」 「いくら伝説上の生き物だからって、ひるい・ひるくない、って新たな形容詞を作っちゃダメですけど、まぁ、そこは、……伝説上の生き物だけに?」 「……鱗がべたべたしてる?」 「比類出来ないとかなんとか言って欲しかった」 「そんな天下天上唯我独尊気分でロックンロールしてても、あなたの思うようにはボケられない私ですけど… 「そんな気分で突っ込んでないし、トムキャットに結びつけるにしては長いボケだとしか思ってないですよ…… てか、今時トムキャットなんて急に持ち出されてもパオロン以上に通じないと思…… 「黙れ。ただの宮仕えがッ!」 「おっと。急にご機嫌斜めで。まだアニキサスが暴れてるんですか?」 「ガタガタ抜かしてると、凍るアスファルト急な坂息もつかず思いきりかけあがったるぞ」 「トムキャットまだ引っ張るんですか?って、さっきからふと思いましたけど、あなたもしかして面白いことが全く言えないんじゃないですか?」 「分かってへんな。全然、分かってへん。まぁ、宮仕えなんて小役人には分かれへんのかなぁ」 「おっと。令和のこの時代に『小役人』なんて単語を駆使する人がまだいたんですね」 「そう言われても、もう私は人ではないし、爬虫類なのかさえの自信もないしね」 「人も竜もそもそも爬虫類じゃないですからね。人や竜を火で炙っても香ばしい臭いはしないですからね」 「爬虫類も香ばしくはないやろッ!てか、君あれやな。やっぱ、ぱっと見優しく見える人の方がサイコパスやってのは本当やな」 「そんなもん誰が言ってるんですか?そんなこと言ったら、緩いだけでちょっと怖いパオロンより、もっと愛想よく見えるツバ九郎がサイコパスなんじゃな…… ……ツバ九郎はサイコパスやないか」 「待て待て待て。パオロン言い出した私が言うのもなんだけど、ツバ九郎のキャラがパンキッシュだってのが世間一般の常識だって前提のネタをしてもな、誰もついてこられへんぞ」 「君は珠もってガーッ!言うてるだけやから知らないでしょうけど、ツバ九郎のキャラは全国区ですよ。渋谷のギャルだって知ってますよ」 「ほんまに?」 「あなたが思うより世間の人は野球が好きなんですよ。渋谷のギャルはオリックスの今年のベストメンバーだってスラスラ言えますからね」 「……そこそこの野球好きなオッサンでも、吉田正尚以外、誰一人分からないのに?」 「大丈夫大丈夫。ヤクルトのライアンと石川以外のローテーションピッチャーだって、私は言えないけど渋谷のギャルならすらすら答えられますよ」 「マジで?!それって、ロッテOBなのに縁もゆかりもない阪神の解説をサンテレでしてるだけの有藤より詳しいってことやん!」 「いや、有藤さんも詳しいに決まってるでしょ。唐突にミスターロッテをディスるのやめてあげて。有藤さんなら、吉田正尚のほかに多分、T-岡田くらいは知ってるから。ま、T―岡田が去年もスタメンにいたかどうかは私も知らないけど。てか、オリックスの話はどうでもいいのよ。とにかく、パオロンとか言わないといけないくらいのあなたが悪いのよ。よく考えたら、竜なんてね、パオロン使うしかネタのラインナップがないじゃない」 「んなわけないやん。色々あるやろ?ドラゴンボールやら、ドラゴンクエストやら」 「いやいや、それ、ドラゴンですやん。竜とドラゴンちゃいますやん」 「んなこと言うたらパオロンもドラゴンやんか」 「いや、あんなダッサいドラゴンいるわけないでしょ?パオロンは、竜 あんなね、地方のスーパーの2階にある衣料品コーナーに売ってる服みたいにダッサいやつがドラゴンなわけないでしょ?」 「パオロンとダイエーの悪口はともかく。なんやねん。ダッサいのだけ竜にして」 「ドラゴンやったらほら、火を吐くとかカッコええわけですけど、あんたは人がゲロ吐いてるの見て、もらいゲロ出すくらいじゃないですか?」 「いやいやいや、あんた、隣で酸っぱいゲロ吐かれてみぃ?ドラゴンかって吐くで?」 「ドラゴンはもらいゲロなんてしません。なんやったら、パチンコで勝った日にストロングチューハイ吐くまで飲んだりもしません」 「酔うた時にダサくなるのはしゃあないとしてもやな、普段は私かってダサくはない。謎のロゴやアップリケが散りばめられてるわけちゃうしな」 「ダイエーの2階で売ってるような服でないとしても、ファッションチェック的には、手に珠を持ってる。ってのがあり得ません」 「これは別にお洒落で持ってるんちゃうわ。くりぬいた眼をガキに舐めさせて育てる為に持っとんねん。珠は乳首兼眼球やねん。それをガキがペロペロペロペロしよんねん」 「あのね、昔話をそういう口調で改めて語ると意外とグロいからやめませんか?」 「てか、ぶっちゃけ言うとな。竜よりドラゴンの方がダッサいわ。そもそもな、洋モノの生き物全般、ダッサいねん」 「いや、今日日『洋モノ』って言い方のがダサさ爆発してますけどどういうことですか?」 「和モノはな、鬼とかヤマタノオロチとか、オリジナリティーあるし、完成度高い思うねん」 「なんの完成度か分かりませんけど、オリジナリティーってのも今一ピンと来ませんが?」 「洋モノ見てみいや。チョロっと羽はやした馬とかやな」 「ペガサスのことですか?だいぶんガッツリはえてる思いますけどね」 「大概がワンパターンやねん。オッサンの下半身が馬並みやとかな」 「それだとただの下ネタですけどね。上半身がオッサンで、下半身が馬。で、ケンタウロス。って言いたいんですよね?」 「そうそうそう。それに、上半身が牛で、下半身が牛とか」 「上半身が牛で……下半身が牛。 うん。……牛。ですよね、それは」 「上半身がジャージー牛で、下半身がホルスタインかもしれへんやないかッ!! 顔がジャージーで、胸がホルスタインやったら ……なんだか私がおじさんだったらものすごく興奮してきそう!」 「興奮のポイントが一ミリもわかんないですけど、竜とドラゴンどっちがダサいかは置いといて、ジャージー牛とホルスタインの理論でいうと、あんたも上半身龍で、下半身ドラゴンかもしれへんやん?!」 「いややわぁ。もし、下半身がドラゴンになってもうたら、もう龍糞でけへんやないの」 「なんですかそれ?」 「下半身が糞を決定付けてるわけやんか?ケンタウロスはどんだけイケメンでも馬糞するし、しれっとしてても人魚は、金魚の糞みたいな人魚の糞するわけや。だから私が私の下半身、今日からドラゴンやってなったら、今日から龍糞やなしにドラゴンシットが出…… ……なんかカッコいいやん」 「カッコよかろうが悪かろうが『脱糞』なんて単語を口にする時点でゆるキャラにはなられへんからな。くまモンもねばーるくんも脱糞せえへんからな。するとしたらツバ九郎くらいやで」 「まって。そこは本気で龍ヶ崎市のゆるキャラ目指してるから、じゃあ我慢するわ。バリウム飲んだ時のゲップ並みに我慢するわ。それとな、岩魚を食べて竜になったことも隠していかなあかんと思ってるんよ」 「つまり、竜ヶ崎のゆるキャラだけに ……人から竜になったのではなく」 「食べられた岩魚の怨念があつまっ… 「竜が先。って言えやぁッ!!」
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