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真実
私が二十の誕生日を迎えたのは、自宅ではありませんでした。私は大学の友人の家にいました。
私のお祝いの為に、と飲み会を提案してくれたのです。
母に連絡はしていませんでした。
別に、私のことなんて心配していないだろう、と思っていたからです。
夢も無いような娘のことなんて。
勿論、連絡はありませんでした。
友人たちと飲み明かして、家に着いたのは午前5時半。少しふらつく足元を踏み締めながら、ポストの前に立ちました。
成人の年は色々楽しみな事がありましたが、結局コレが一番楽しみでした。
頭を傾けて、ポストの中を見ました。
「……無い」
冬の風の寒さを感じたのは、やっとその時でした。
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