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「……」
ギイと玄関の扉を開けると、母が立っていました。
まずい、怒られる、と唇を噛み締めながら俯いていると、母は静かな声で、私に告げました。
「話があるの」
呼ばれたのは居間の隣の和室でした。
和室、いつもは入るなと母から厳しく言われていたので、入るのは小学生以来でした。小学生の時だって、ふすまを開けて閉じたってくらいだったので、入るのは本当に初めてかもしれません。
正座する母に合わせて、私も正座しました。
母が呼吸を整える為に深呼吸をするので、なんだか緊張が移ってしまって仕方がありませんでした。
座り直そうとしたその時でした。
「これを、美月に」
手元に置かれた手紙には、
【みつ き へ】
と、見覚えのある字で書かれていました。
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