50人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ、お父さんの…」
封筒を手に取って、また違和感を感じました。
なんでだろう、震えた字を見るのはもう慣れたし、封筒には変わりないのに。他にどこが…
気付くまでに時間は掛かりませんでした。
封筒に、切手が貼っていない。
今まで、一度も気にした事が無かった事でした。
今年になってから始めた郵便局でのアルバイトのせいで、切手が貼っていない事への違和感にやっと気付いたのです。
恐る恐る、母の方に視線を戻しました。
母は一言、「開けてみなさい」と言いました。
何故か、読んではいけない様な気がしました。中身を読みたくないとか、そういう事じゃありません。読んでしまったら、何かが終わる様な気がしたからです。
それでも私の手は、勝手に封を開けていました。
最初のコメントを投稿しよう!