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贈り物
「…お父さんは病気でね。
美月を妊娠してすぐに余命半年だって言われたの。
最初は薬のせいで副作用も凄くて、私よりお父さんの方がお医者さんにかかっていたのよ。
でも少し落ち着いてきた頃、いきなり便箋と封筒を用意してくれって言われて。
…美月が二十歳になるまで、毎年分の手紙を書くって言い出したの。」
「…お父さんが?」
「そう。私にだって一度も書いたことのない手紙をね。仕事ばっかの人だったから、文章も硬かったでしょう。」
硬かった。三歳の時に貰った手紙なんて、今やっと読めるくらいなんだもの。
「…でも、すごく愛が籠ってた」
「…そうね、お父さんは美月の事が大好きで仕方無かったもの」
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