異変

1/5
前へ
/20ページ
次へ

異変

「…ん?」 高校二年の冬、いつも通り郵便受けに入っている父の手紙を見て、何か不自然に思いました。 いや、特にいつもと変わりのない封筒なのです。 でも何かが、違う。 それは封を開けてから明瞭なものに変わりました。 ...字が、震えている? そうです。宛名の「娘へ」の文字がいつものような力強い字ではなかったからでした。 それは毎年手紙を見ている私でやっと分かるような、ほんの少しの変化でした。 クスッと笑ってしまいました。 もしかして今頃、寒い国にいるのかも。寒さで凍えて字が震えてるのでしょう。 最後の行に、『体調には気をつけて』なんて。 お父さんの方が心配でした。 「お父さんにホットコーヒーでも送っておいた方がいいかもよ」、なんてお母さんに言っておこうかなと思ってしまいました。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加