CYCLE HIT

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CYCLE HIT

雨が降っている。 昼時であればここも人通りはあるが、この冷たい雨と深い闇が人払いとなるだろう。 俺はを道端に置く。 できるだけ丁寧に、(ある)いは何処(どこ)ぞの儀式かのように。 それが地面と触れ合うと重い金属音を響かせた。 明らかに質量よりも膨大な重さを(はら)んでいる。 手を離すと名残惜しさを指先に感じたが、再び手に取ることなどは決してしない。 俺は俺の信念に基づいて事を成すのみ。 ―男の姿は闇夜に紛れ、そこには落し物だけが黒い光を発していた。 ※
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