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「お待たせしました」
そう言って常連さんのテーブルにそっとコーヒーカップを置くと、お客さんはとても嬉しそうにコーヒーの香りをかいだ。
一口飲むと、目を瞑りホッとため息をつく。
「……これよこれ。ああ、生き返るわ。ホントに幸せよ」
お客さんの言葉と頬笑みに、幸せをもらっているのは私の方で。 この仕事を続けている醍醐味を、うんと噛み締めていた。
誰かを幸せにしたいとか、そんなたいそうな、思い上がったことは考えていない。
ただ、誰かと幸せを共有したいというのが、私の働く意義だった。それを叶えてくれるのが、ここ、「ルピナス」というカフェだ。
……もうひとつ、思い入れのあるカフェもあるけれど。
お客さんに会釈をすると、また別の席のオーダーをとりに向かった。
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