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次の日の夜、何故あんなにも気が進まなかったのか理由がわかった。今までの経験の中で培った第六感というのが、きっと危険を察知していたのだ。でも今さら後悔しても遅い。
二人に連れられてきた居酒屋には、先客がいた。それも、私よりだいぶ若い男性が三名。メイちゃんを見つめ説明を求めると、彼女は言った。
「三澤さん、年上の人が好きみたいですけど、年下にもイイ人いっぱいいるんだよーってこと、知ってほしくて!」
きっと彼女が言う年上の人とは、店長のことだ。それくらい私にも察しがついた。
二人は誤解しているみたいだけど、私は店長に恋愛感情なんてないし、店長もまた、私にそんな感情はない。『もう女性はこりごりだ』と、常日頃から言っているのを知っている。
「三澤さん、ういっす」
ニヤニヤと笑いながら私に向かってビールのジョッキを上げる男性達。
どうしてこんなことになったのかわからないけれど、すぐに帰るのも失礼だし、お店の人にも悪いので、一杯だけ飲んでからにしよう。
苦笑いで男性達に会釈をして、一番出口に近い席へ座った。
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