かわいいモノ

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   少し休もうと入ったカフェで、不機嫌だった彼女が急に愛想よく話し出した。 「天はさ、もっとかっこいい人だと思ってた。仕事が出来て、英語も話せて、紳士で。それで、その見た目だから…私が勘違いしちゃってたのは悪かったけど、あまりにも違い過ぎて...。」  自分が詐称した訳でもなく、勝手によく思われて「実は違った」って言われても、どうしようもない。こんな俺でごめん、なんて言いたくない。こんな自分に自信が持てないでいるのに、欠点を勝手に(あば)かれて、批判されているのだから。 「私から言っといて本当に申し訳ないのだけど…お付き合い、無かったことにして下さい。」 「ううん、いいよ。大丈夫。」 「やっぱり優しいよね、天。ごめんね~。でもさ、お友達でいさせて?だってさ、天はカッコいいし、素敵だもん。」 「ありがとう。」  別れたいけど、素敵ってなんだろう。「もっとかっこいい人だと思った」って言ったのに、「かっこいい」ってどういう事だ。  落ち込みたくないから、深く考えるのはやめにした。  彼女とは縁が無かったのだろう。…違うな。彼女とも、だよな。
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