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 シンと静まり返る部屋は、水槽のモーター音だけが響き、テーブルの上にはビールの空き缶と小皿、それから灰皿が主をなくして佇んでいる。もう戸川はいない。けれど、そこかしこに先ほどまで戸川がいた形跡が色濃く残っている。 「……片付けしないんだからなぁ、もう」  小さく呟き、楽しそうにテーブルの上を片付けはじめる塩見を、水槽の中からグッピーがじっと見つめていた。
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