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「なに買うんですか?」  塩見はコーヒーを淹れながら、さっそくパソコンをいじっている戸川を振り返る。 「んー? シーツとか、あとカーテンとか。オススメある?」 「戸川さんは素材にこだわりあるんですか? 僕はシーツはコットンじゃないと嫌だし、カーテンは遮光性じゃないと困るし」 「そうだなぁ……まぁ、肌触りがいいに越したことはないよね」  言いながら戸川が塩見のベッドに手を伸ばす。ネイビーブルーで統一された塩見のベッドはまるで深海のようで、指先に触れるシーツの触り心地も抜群だった。 「僕のはオーガニックコットンです」  テーブルにマグカップを置き、塩見が戸川の隣に座る。 「戸川さんはイメージ的に……ベージュとかどうですか?」  カタカタとパソコンをいじり商品画面を戸川に見せてくる。淡いベージュのシーツは、ひどくやわらかなイメージがして、戸川は思わず苦笑する。 「俺のイメージってベージュ? こんなやわらかそうな色かなあ」  塩見は昨日、戸川のことをグッピーならアイボリーモザイクだと言っていた。ボディはグレーだが、ひらひらと大きい尾びれには黒のはっきりとしたモザイク模様が散らばり、派手な印象を戸川は受けた。それなのにシーツはやわらかなベージュとは、どういうことだろうと思う。
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