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「なにって……よくわかんねぇけど、ずっと前からいいなとは思ってたよ。決定的だったのは、美希子が子供が欲しいって言い出した時かなぁ」  美希子とは戸川の元妻のことだ。 「いや、俺だって子供はいつかもつんだろうなとは思ってたし、いらないってわけじゃなかったんだよ。ただ、結婚して1年くらい経った時に、急に美希子が子供子供って言い出して、なんか違うなあって思ったわけ」 「違う?」 「そういうタイプじゃないと思ってた。向こうも仕事してたし、子供は30過ぎてからでもいいって言ってたのに、急に子供が欲しいって言い出すから……言い方悪いけど、女ってめんどくせぇなって思っちゃったんだよ」 「……男同士なら子供出来ないですもんね」 「あー、違う違う。そういうんじゃないよ? シオちゃんは、俺が納得しないこと強引に押し進めてきたりしないでしょ?」 「それは、まぁ……」  要するに戸川と美希子は相性が合わなかったということだろう。それを戸川が見抜けなかったという話ではあるが、性別の違いからか女性の感性はホルモンに左右されやすく、そのあたりを戸川は『めんどくさい』と言っている。女性に対し苦手意識が芽生え、身近で相性の良さそうな塩見にシフトチェンジしたとするならば、ずいぶんと戸川らしいと塩見は思う。 「戸川さんらしいですね。でも、僕とは結婚も出来ないし、欲しいと思っても子供は作れないですよ?」
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