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――音や光に敏感。
――人混みが苦手。
――ひとりの時間が必要。
HSPといっても一概にこうとは決めつけられないようで、その特徴は人によって様々であり、またその度合いも人によって違うとされている。塩見は強度のHSPだと聞いている。自分や他の人間となにが違うのか。性質であり病気でも障害でもない。それなのに、HSPは生き辛いとされている。戸川には、よく理解が出来なかった。
「こーすけ、おまえHSPって知ってる?」
隣のデスクの鹿島昂祐に、なんとはなしに聞いてみる。
「なんすか、それ」
「ハイリーセンシティブパーソンの略」
「聞いたことないっすね」
自分よりも若くネットの情報に長けている鹿島でも知らないとなると、HSPの認知度はかなり低いのだろうと戸川は推測する。だとすれば、塩見の性質は他人からの理解を得難い。例え説明したとしても、だから? と言われてしまうような類のものだ。
「あ、そういえば、戸川さん引っ越したんですよね?」
「あぁ。なに? 引っ越し祝いでもくれんの?」
「ないですないです。噂によると塩見先生と同じアパートらしいじゃないですか」
「まぁな。隣が空いたって聞いたから」
「塩見先生ってどんな人なんですか?」
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