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「戸川。頭抱えてるとこ悪いが、押尾先生の出版記念パーティの件どうなってる? おまえの大好きなシオちゃん先生は来るんだろうな?」  丸めた紙の束で、編集長の八島に頭を叩かれる。 「あー……いや、それは言ったじゃないですか。シオちゃんはそういうの苦手なんだって」 「俺も言ったよな? 押尾先生が是非、塩見先生にも来てもらいたいって言ってるって」  塩見は今まで一度も自身の出版記念パーティを開いていないし、他の作家のパーティに参加したこともない。今年は塩見にとっては5周年であり、単行本も出るからパーティを開こうと戸川は提案したのだが、塩見は頑として首を縦には振らなかった。そんな塩見が押尾の出版記念パーティに出席するはずもなく、戸川は塩見に話すらしていない。 「……一応、聞いてみます」 「頼んだぞ」  八島がぽんぽんと肩を叩いて去っていく。戸川は重いため息をこぼし、再び頭を抱えた。
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