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塩見のことをよく知っているはずの戸川自身でさえ興味が尽きないのだから、押尾や鹿島が塩見に興味を持つのも仕方がないと戸川は思う。
「で? どうする? 別に最初から最後までいなくても、ちょっと顔出して挨拶するだけでもいいし」
「……僕が断ったら戸川さん困る感じですか?」
「いや、ぜんぜん」
塩見の問いに即答し、戸川が寿司を口に放りこむ。その言葉に嘘はないと塩見にはわかるが、やはりなんらかの面倒を戸川にかけてしまうのではないかと考えてしまう。
「戸川さんも出席するんですよね?」
「もちろん」
「じゃあ……ちょっとだけ顔だそうかな」
「えっ? マジで?」
「はい。あー、でも僕スーツとか持ってないんだけど」
「俺の、じゃデカすぎるか。買いに行く? 付き合うよ?」
「いや、買ってもそのあとはもう着ないだろうし」
「じゃあ、レンタルは? 今度の休み、一緒に借りに行こうよ」
予想もしなかった塩見の返事に戸川は妙にテンションがあがってしまう。もう既に戸川の頭の中は、直近の休みがいつか、塩見にはどんなスーツが似合うだろうかということでいっぱいだった。
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