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このノートの持ち主は男性……それはわかった。
けれども私の学校は女子高で、男子生徒はいない。
しかも先生も全員、女子。
と言うことはこの学校は関係なく、関係あるのは今現在……私が使う駅以外ない。
次にそう判断した私は部活のある友達と別れて一人、駅へと向かった。
「今日も…………いない」
どこを探しても見当たらない。
もしかすると来たのが早いのかと思い、私は駅で待つことにした。
「でも、暇よね」
そう考えた私はスマートフォンを出すよりも、鞄の中にあるノートに手を伸ばした。
最初に覗いて少し内容に興味を持ってしまった私はあの続きが気になっていた。
「えーと……」
男の子は自分を勇者だと思い、どこからか拾った木の棒を持ち村の外に出て魔物と戦うが木の棒は簡単に折られてしまい、直ぐに村に逃げ帰った。
それを見ていた村の人々は馬鹿にした顔で笑っていた。
しかし、男の子は諦めなかった。
次の日も次の日も木の棒や拾った錆びた剣を使い挑んだ。
それを繰り返すと……男の子は徐々に強くなり魔物と引き分けたり、魔物が逃げ出したりするようになり……ついに魔物を倒すことに成功した。
ノートの五ページぐらい読んで次のページをめくろうと手を伸ばした直後、突然声をかけられた。
「あれぇ林檎っち?! どうしてここにいるの?!」
「そっちこそどうして?」
「どうしてもなにも部活終わって帰るところだよぉ?」
その言葉で気づいた空の景色が青空から夕暮れに変わっていたことに。
先に駅に着いた時間から今まで約二時間もの間、私はこのノートの漫画を読んでいた。
「なになに? 誰かと待ち合わせー?」
「……待ってた、たまには一緒に帰ろうかなって」
笑顔を浮かべながら鞄の中にノートを戻し言うと、友達は嬉しそうに笑顔を浮かべてくれた後、駅のホームと電車の中で他愛もない世間話をしながら帰った。
その後……家に着いた私はまた鞄からノートを取り出し続きを読んでいた。
男の子は魔物と戦いながら負け、引き分け、勝ちを繰り返しながら男の子は一歩一歩、魔王のいる魔王城に向け足を進め、やっとの思いで辿り着いた。
しかし魔王は強く勝てなかった。
「弱いな、だが強くなったらまた来い、いつでも相手になってやろう」
だが魔王は優しく? 男の子を殺さず何度も何度も逃がしてくれた。
そのたびに男の子は少しずつだが強くなり、魔王に一撃を加えたが負け……男の子が逃げる時、魔王は言った。
「また挑みに来い、若き勇者よ」
その言葉に男の子は奮起し、遂に……魔王を倒すことに成功した。
「……面白かった……って! あ、もう寝ないと!」
読むのが楽しく、読み終わり時計を見た時にはいつもの寝る時間を過ぎていたのであった。
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