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「あの変なノートやっぱりあんたのだったんだ」
「そ……そうだよ、姉ちゃんに忘れ物届けろって言われて駅まで来た時に落としたやつ……」
それは私……林檎がノートを拾う一日前に遡る。
智喜の姉は宿題を家に忘れたことに気づいたのは電車に乗って少ししてからのことだった。
その状態で一度、家がある駅まで戻ってをしたら遅刻確定。
そんな時、思い出したのは、弟、智喜は姉と違い部活をしてないため時間に余裕があった。
ならばと智喜に頼み、宿題を学校がある最寄り駅まで届けさせた。
その時、駅に早めに着いた智喜は自分のノートを取り出し内容を確認していた。
その後、部活を抜け出し受け取りに来た姉に宿題を渡した。
だがその時……姉も弟も宿題に気を取られ、智喜のノートが椅子の上に置かれ風に下に落ちたことに気づかなかった。
結果、椅子の上に自分のノートが無かったため、智喜は鞄にしまったのだと思い込み、電車に乗り学校に向かった。
そして一日後、林檎に拾われるまで駅のホームに落ちていたのだった。
「でさぁ……林檎っちって可愛いでしょ? 惚れた?」
「そ、そんなこと……あ、あの茶色のロングの髪に泣きぼくろで……僕のノートを見ても優しい笑顔浮かべてくれる……女の人なんて……」
「めっちゃ見てるじゃん……ねぇ? デートに誘ってみたら?」
「は?! きゅ、急に何をいって……」
「ねぇねぇ! 林檎っち! 智喜が話があるってさ!」
強引とも言える言葉と姉の行動……により、僕は林檎と呼ばれるノートを拾ってくれた可愛く 笑顔の素敵な女の人に前に突き出されるのだった。
「なんですか?」
私は智喜と呼ばれた友達の弟君に笑顔を浮かべる。
すると下を向きモジモジとしながら何か言いたいそうにしてると隣で少し呆れた私の友達こと……姉が背中を思いっきり叩きながら言った。
「智喜がさっ! ノートを拾ってくれたお礼に次の休みの日に林檎っちに何かごちそうしたいんだってさ!」
「いいよそんなの、私はたまたまノートを拾っただけだし」
「智喜がお礼をしないと気がすまないんだって、だからさ、ね?」
「そ、そういうことなら?」
私は特にその会話に疑問を抱かなかった。
先ほど渡したノートは智喜君にとってとても大切な物でそれを拾った私にどうしてもお礼がしたいから、何かごちそうしたい。
なら無下に断らないほうがいいと思った。
「よかったね、智喜」
笑顔で言う姉に対し智喜君は下を向いたまま頷いた。
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