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そこから始まる物語
私の名前は千草林檎。
どこにでも女子高校生。
男女問わず友達はいるが、彼氏はいない。
それはどうでもいいとして……私はいつものように高校へと向かうための最寄り駅に向かい、いつものように高校に一番近い駅で降りて学校に向かう。
そして一日の授業が終わると、友達と遊ぶ予定が無く、部活のない私は学校を後にして家に帰る。
これが平日、学校に通ういつもの私の日常。
そんなある日……いつものように電車に乗るために駅辿り付くとそれを見つけてしまった。
駅構内で私と同じように帰る学生、仕事帰りなのか、はたまた今から仕事に向かうスーツ姿の男性がちらほらいる中、誰一人としてそれを拾おうともしない。
見て見ぬふり、または触らぬ神に祟りなし……そのどちらに私の目に映ってしまったそれを拾った。
「これは……ノート?」
学生であるなら誰しも持ち歩く……学校に全部置いてこない限りは持っているであろうノート。
表、裏ともに名前は無く誰の物かはわからない。
そんなノートが誰の物か調べるために最初のページを開いてみた。
するとそこには漫画のような物が描かれていた。
「えーと……」
最初のページの内容だけでも確認しようとした直後、いつの間にか電車がホームに着き、もう発車すると合図を鳴らしていた。
この駅は無人駅でしかも都会ではない。
だから駅に一人でもいる場合は車掌さんの優しさなのか待ってくれる場合がほとんど……ただし乗っている人達の目が集める。
その恥ずかしさを我慢しながら私はそのノートを持ったまま乗り、扉が閉められた後に、気づいた。
「ぁ……」
まるで吐息のように漏れたその言葉を周囲の人には聴こえず、他人からすればノートを広げ勉強なりしていた真面目な学生に見えたのだろう。
けれども当の本人……そう、私は他人のノートを持ち去ってしまった。
だけども、あの場所で誰一人としてノートを探している男性、女性はいず、ただ駅のホームに落ちていた。
それを拾ってしまったのが私……。
これが、この行動がちょっと不思議な物語になるとは、今の私には気づくこともできなかった。
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