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 五曲目が終わった頃には、オレたちはすっかり昔の関係を取り戻していた。一年ちょっとのブランクはもうすっかり埋まっている。  絶え間なく交互に好きな曲を入れ合い、何度もドリンクバーでカルピスをおかわりしながら腕が痛くなってもマラカスを振った。 「洋介はやく次の曲入れなよー」 「待てって。今悩んでるとこだから」 「じゃあ先に行かせてもらうぞ! 転・送!!」 「あー! 梨歌さっきも歌ったろ!」 「洋介が遅いのが悪い! 油断大敵!」 「割・り・込・み・転・送!!」 「なにいー!?」  時間なんて関係ないんだろうな。  もう何曲目かもわからない持ち歌を熱唱しながらオレは思った。  たとえ何年会わなくたって、一度会えばすぐに元に戻ることができる。  楽しかったあの時間を何度でも蘇らせることができる。  それが堪らなく嬉しかった。    これが、親友。  ……まったく、これだから。  親友という関係は、毒々しいほどに快適で困る。  ずっとここに浸っていたいと思ってしまう。  この居場所を失いたくないと思ってしまう。  ――いつまでも、このままで居られたらいいのに。 「あ」 「あ?」  それでも。  まだそんな安い希望に縋ろうとするオレを「、なんて幻想だよ」と嘲笑うかのように。 「電話だ」  時間は変わらず流れていく。
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